きものの種類と格
福岡県筑紫野市二日市西と福岡市中央区春吉
長崎県佐世保市の常設教室や
福岡県、佐賀県、長崎県内の公民館等で初級無料着付け教室を開催している
「きもの装美着付学院」です。
こんにちは。
いつもご覧いただきありがとうございます。
今回はTPOに応じたきものを紹介したいと思います。
きものは日本の伝統であり、民族衣裳でもあります。
時間がある時は、きもので過ごしたいと思っている人も多いと思います。
【目次】
【第一礼装】
・黒留袖
・色留袖
・振袖
・黒喪服
【準礼装】
・訪問着
・付け下げ
・色無地(紋付き)
・江戸小紋(紋付き)
【おしゃれ着】
・小紋
・紬
【第一礼装】
【黒留袖】
まず留袖の由来ですが、江戸時代未婚の女性の象徴である振袖を
女性が十八歳になった時、または、結婚をした時に振袖の長い袖を切って短くしました。
切るという言葉は、あまり好ましくなく袖を留めるということで
留袖というようになったそうです。
もともとは、大人の女性がごく普通に着るきものを指していましたが、
江戸の終わり明治初めごろから
黒字染め抜き日向五つ紋の江戸褄(裾模様)を既婚女性の式服とする慣習が
民間に広がり、それ以来この黒いきものを黒留袖といいます。
現在は既婚女性の第一礼装で、
五か所に染め抜き日向紋を付けるのが決まりで、
結婚式や披露宴に出席する新郎新婦の母親、仲人婦人、親族の既婚女性が着用します。
黒留袖の生地は主に一越縮緬が用いられ共八掛がついています。
もともとは、白羽二重のきものを重ねて着ましたが、
今は、襟や袖口、振り、衽を二枚重ねるように仕立てる比翼仕立てとなっております。
文様は裾だけにあり、縫い目で模様がとぎれない絵羽模様になっています。
染めや箔、刺繍を用いた吉祥文様や有職文様、正倉院文様などがあり、
品格ある文様の中から着る人の年代や個性によって、
華やかさ、優雅さ、重厚さをポイントにして選びます。
【色留袖】
色留袖は、紋の数で礼装・準礼装になります。
五つ紋・三つ紋・一つ紋その数にかかわらず、染め抜き日向紋が一般的ですが、
好みにより加賀紋や刺繍紋などの洒落紋を付けることもあります。
未婚の女性も着られるので、結婚式や披露宴では、親族の女性で二十代から祖母や叔母にあたる人の色留袖はいいですね!
また、来賓の女性の色留袖は、礼を尽くした装いとなります。
色留袖に五つ紋を付けるなら、
黒留袖と同じように比翼仕立てにします。
三つ紋や一つ紋の場合は、
比翼なしで白や同系色の伊達衿を用いておしゃれをする人が多くなりました。
また文様は、黒留袖と同様の格式ある文様だけではなく、
優美さや華やかさにポイントを置いた文様も多くみられます。
色留袖を作る際は、自分が最も着る機会の多い場所を想定して文様を選び紋の数を決めましょう。
【振袖】
振袖は、未婚女性の第一礼装です。
振袖をはじめとしたきものの原型は、
室町時代の小袖といわれ振袖という名称が生まれたのは江戸初期でした。
当時の振袖は、子供から十八歳までの未婚女性が着るもので、
振りのある長い袖は若さの象徴でした。
今も長い袖を持つ意味は変わりませんが、振袖の袖丈にも意味があります。
振袖の袖丈は、大振袖は、百二十五センチ
振袖は、百十四センチ・中振袖八十七センチ~百六センチ
小振袖七は、十六センチ~八十六センチが目安です。
大振袖は花嫁衣装に、振袖は花嫁のお色直しや成人式・謝恩会・披露宴に、
中振袖や小振袖はパーティーや十三参りの少女用に最適です。
【黒喪服】
一生のうちに何度か着ることになる喪服
袷の黒喪服は、縮緬か羽二重が一般的です。
これに黒留袖同様に染め抜き日向五つ紋を付けます。
帯や小物も黒で統一します。
【訪問着】
訪問着の由来は、英語のビジティングドレスと同格のきものとして
明治時代に訪問服と名付けられ公式な訪問用社交着でしたので、昔は三つ紋を付けました。
大正時代に百貨店が提案し、オシャレなよそゆきとして着用され、
今では訪問着という名で定着したそうです。
現在は略式にして一つ紋を付けたり、紋を省略して仕立てています。
未婚・既婚を問わず着られるきものです。
訪問着の文様は絵羽模様で、肩・袖・裾または全体に文様を置いたものなど様々です。
裾回しは、表地や同じ生地にし(共の引き返し・八掛)表の文様に関連した絵柄を染める場合もあります。
【付け下げ】
付け下げの由来は、戦時下に絵羽文様の訪問着が禁制品となったため、
訪問着の代用品として定着したとあります。
付け下げの特徴は、反物の状態で着用したときに模様がすべて上を向くように描いたきものです。
ただ、そのあと人気が出たため上前の衽と前身ごろの縫い目で模様がつながるように改善され、
付け下げ訪問着と呼ばれるような華やかな付け下げもできました。
格のある模様は、訪問着と同様に結婚式・パーティー・入学・卒業式と着用できます。
【色無地】
色無地は紋があれば準礼装、なければおしゃれ着です。
人生の節目となる大切な時に着られてきた染めの着物です。
たとえば、花嫁衣裳の白無垢・還暦の紅衣装
また、昔の女学生の卒業式には、いつつもんの色無地に袴、が式服でした。
今も卒業式、七五三に付き添う母親には、一つ紋の色無地を着ることが多くコーディネート一つで、
見違えるほど印象が変わるのも色無地の特徴です。
五つ紋付や三つ紋付は色留袖に準じ、一つ紋付きは訪問着や付け下げに準じます。
紋は、染め抜き紋や略式の縫い紋で、家紋を表現するのが一般的ですが、
友禅染めや華やかな刺繍の洒落紋を置くとことのほか映えて、
品格と華やかさを備えたおしゃれが楽しめます。
【おしゃれ着】
【小紋】
ちょっとしたお出かけに着物を着たいという人には、とても便利なきものです。
繰り返し模様の型染め・手描きのきものを小紋といい、
ちょっとおしゃれして食事や休日の外出など出かける機会がたくさんあります。
【江戸小紋】
小紋の中でも江戸小紋は大きな位置を占めています。
江戸時代、大名や武士の裃用として遠目には無地に見えるような、
非常に細かい柄の小紋が染められていました。
将軍や大名は、各自専用の模様を定めそれを留め柄としました。
裃が原点だった江戸小紋は今も健在で、極鮫・極霰・極松葉など高い品格があり、
紋を付けて略礼装のきものとして用います。
また、紋がなければおしゃれぎとして着用できます。
【紬】
紬は糸の状態で染めてから反物に織る先染めのきものです。
紬の模様は、訪問着や小紋のように白生地に模様を染めたものではなく、
色糸で織られた織柄です。
かつて紬は、養蚕農家が商品化できないまゆ糸を使って織ったことから、
長い間普段着として着用されました。
しかし、
現在はその伝統技術が高く評価され、普段着からおしゃれ着と広がりのあるきものとなりました。
【まとめ】
お着物を着られる際の様々なシーンにおいて参考になれば
幸いです。
気軽にお着物で出かけてみてくださいね。