きものと帯の文様
福岡県筑紫野市二日市西と福岡市中央区春吉
長崎県佐世保市の常設教室や
福岡県、佐賀県、長崎県内の公民館等で初級無料着付け教室を開催している
「きもの装美着付学院」です。
今回のお話は『着物と帯の文様について』です。
※文様とは 装飾のためにつけられた図柄。
様式化した連続模様の単位をいうことが多い。紋章的なものは「紋様」とも書く。
きものを選んだり、きものと帯のコーディネートする際に、
文様の意味などを知っておくと格の高さやカジュアルなどわかると思います。
目次
・吉祥文様(きっしょうもんよう)
・正倉院文様(しょうそういんもんよう)
・有職文様(ゆうそくもんよう)
・名物裂文様(めいぶつぎれもんよう)
・具象文様(ぐしょうもんよう)
・まとめ
【吉祥文様(きっしょうもんよう)】
吉祥文様のルーツは中国ですが、
平安時代にはすでに日本独特の吉祥文様も見え、
江戸期に著しく発展しました。人は、幸せであってほしいという願いを、
きものや帯の文様に託してきました。
吉祥文様が持つ意味を、少しですが記してみます。
鶴亀・桃・菊・熨斗・兎 ーー 長寿
葡萄・石榴・瓜・唐子 ーー 子孫繁栄
桐・麻・竹 ーーー 成長祈願
七宝・宝船・扇 ーーー 栄達
琵琶・鯉・鶏 ーーー 昇進
雪輪・雀 ーーー 豊作
六瓢・薬玉 ーーー 健康
鴛鴦・相生の松・貝 ーーー 夫婦円満
吉祥文様が用いられるのは慶事用とは限りませんが、
いつまでも続きますようにという願いを込めて、
吉祥文様を組み合わせて身に着け、祝いの気持ちを表現します。
【正倉院文様(しょうそういんもんよう)】
正倉院の宝物は、
聖武天皇ゆかりの品々で仏具、武器、武具、文房具、楽器、調度品、服飾品、食器など多種多様です。
もと、東大寺に付属していた大蔵(朝廷の倉庫)で、
建造は奈良時代大仏開眼前後といわれています。
シルクロードの終着点といわれている正倉院、
その宝物は中国(隋・唐)や西域(ペルシヤ)からの舶来品も多くみられます。
なかでも、染織品は十数万点に達するとみられ、
これらを総称して正倉院裂と呼ばれています。
平安時代の和風の文様に比べ異国的な雰囲気が特徴です。
【代表的な文様】
「華文」
花弁を重ねてデザイン化された文様。
「蜀江文」
八角形とその一辺を辺とする正方形を連続させたものに華文や雲龍などを加えた文様。
「樹下鳥獣文」
一本の樹木の下に孔雀や鹿が織られている。
「狩猟文」
鹿や獅子などの動物を騎馬の人物が弓矢で狩猟する様子。
「葡萄唐草文」
ギリシャの影響を受けたペルシアから唐に渡り唐で葡萄唐草文となって鏡の文様などに使われた。
「花喰鳥文」
鳥の種類は鸚鵡、鳳凰、鴛鴦など、口にくわえるものは綬、花、枝など有職文様(ゆうそくもんよう)
有職は、公家が調度品や装束に用いた文様で、近世になって有職文様と呼ばれるようになりました。
有職故実によって官位を持つ公家の装束は位階により定められた文様があります。
公家の装束は、十二単にみられるような襲着形式のため文様よりも色襲ねを重視した装いで、
絵模様は襲ねの下に隠れてしまうことから、整然と繰り返される織りの文様が発達しました。
<代表的な文様>
「向い鶴菱」 二羽の鶴を左右または上下に向かい合わせて図案化し菱にかたどった文様
「向い蝶丸」 羽を広げた二羽の蝶で構成された丸文
「浮千両」 初めは浮織りの織物を指したがのちに四等分された大型の円分を指す
「立涌」 水蒸気が立ち上がる様子を文様かしたもの
「亀甲文」 正六角形の幾何文様
「七宝文」 同じ大きさの円の円周と四分の一ずつ重ねてつないだ文様
現代では、礼装用の袋帯に色糸で織り出したり、
礼装のきものに華やかな色彩でで描いたり、
花嫁衣裳の白無垢や準礼装の色無地の地紋として用いられています。
【名物裂文様(めいぶつぎれもんよう)】
広く人に知られたものを名物と呼びますが、
茶道の世界では、千利休をはじめとする著名な茶人が名品と認めた茶道具を名物と呼び、
茶入れや袱紗などに用いられた裂を名物裂といいます。
名物裂のほとんどが、宋・元・明時代の中国からの舶来品、
なかでも、十六世紀頃までの名物裂は「古渡り」と呼ばれ珍重されています。
<代表的な文様>
「笹蔓間道」
三千年に一度花が咲くという竹の花と笹の細蔓に
実を織り出した吉祥文様に豊かな彩色で間道を重ねた文様。
「吉野間道」
縦縞に真田紐風の横縞が特徴。
「有磯文」
波間に踊る鯉を思わせる魚を織り出した文様。
「有栖川文」
襷形の中に鹿、馬などの動物を直線で表現。
「牡丹唐草文」
牡丹の花を唐草状にデザインした文様。
「遠州緞子」
江戸初期の茶人、小堀遠州が所有し好んだ緞子の総称
名物裂の来歴から茶人好みの織り帯として愛好され、とくに色無地や江戸小紋によく調和します。
「具象文様(ぐしょうもんよう」
具象文様は、植物、動物、自然、器物文様があり、
同じ対象を文様にしても表現方法は色々で、自然の情緒を大切にした先人は、流水に紅葉、楓に鹿、月に兎、波に千鳥など、自然と動物を組み合わせたりして季節感を表現しました。
<代表的な文様>
「四君子」
梅、竹,蘭、菊を配した吉祥文様。高潔な姿が四君子にふさわしいことから四つを総称。
「百花」
四季の草花が咲き乱れた文様。蝶なども飛び吉祥の気配、季節に関わらず身に着けられる。
「瑞雲」(ずいうん)
縁起が良いとされる雲の形の文様。
「雪輪」
雪は豊年の兆し。夏の涼し気な文様として考案された。
「宝尽くし」
打ち出の小槌、隠れ蓑笠、如意宝珠、丁子など宝物のいくつかを散らした吉祥文様。
「吹き寄せ」
風に吹き寄せられた花や、こぼれ松葉などの取り合わせ文様。
この他にもたくさんの文様があります。
ご自身のきものや帯を見て、どの文様か調べてみてはいかがでしょうか。
ご閲覧ありがとうございました。
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